私が通訳案内士を受験を決めたのは去年の5月頃だったと思います。取り立てて興味があったわけではないのですが、通訳学校に勤めていた関係で、生徒さんにカウンセリングをする事があり、その際にできる限り実践的なアドバイスができるようにと、生徒さんが興味を持ちそうな英語資格を片っ端から受けていました。医学英語検定や工業英検、国連英検などひと通り終えて、その流れで通訳案内士試験も受験することにした、というのが私の受験のきっかけでした。
通訳案内士を真剣に目指している人から見れば、何をふざけたことを、とお叱りを受けるかもしれませんが、逆にこのことが、私がこの試験を客観的に分析する機会を与えてくれました。何せ自分が合格するのが目的ではなく、生徒さんに的確なアドバイスができるようになるのが目標なのですから、自分が何を考え、何を勉強したかなど、こと細かにノートを取っていました。それがいまこのブログの内容に反映されているというわけです。
それはともかく、当時私はその他にも色々資格試験に手を出していたので、6月末まではどうしても通訳案内士試験の勉強に取り掛かることはできない状況でした。ですので、せめて手が空いたらすぐに準備に取り掛かれるようにと、対策本のたぐいを先にアマゾンで購入しておきました。
私が購入した書籍を以下にあげておきます(過去問以外)。
■ 通訳案内士国家試験 第1次邦文試験対策 重要事項のまとめ(地理)
■ 通訳案内士国家試験 第1次邦文試験対策 重要事項のまとめ(日本歴史)
■ 通訳案内士国家試験 第1次邦文試験対策 重要事項のまとめ(一般常識)
対策本は宣伝で知っていた学校のものでしたし、合格率なども派手に謳っているので、中身もそれなりのものだろうと信用していました。インターネットへの書込みなどをみても、「役に立った」「非常によくまとまっている」などといったコメントが多かったように思います。
ところが。。。
過去問をひと通り解いたあと初めてその対策本を開いてみたのですが、本当にビックリしてしまいました。とりあえず頑張って2時間程勉強もしてみたのですが、バカらしくなって止めました(笑)。言葉は悪いかもしれませんが、本気でこの対策本を勉強する人は、よっぽど頭の良い人か、もしくは勉強(受験勉強)にまともに取り組んだ事のない人のどちらかだと思います。私は頭が良くありませんが、ひと通り受験勉強は経験したので、この本を使っていては試験に通らない、という事だけは確信できました。※1
手短に書くと、私が購入した対策本の中身は過去の試験に出た項目の羅列です。何の脈絡もなく(大きなカテゴリーには分かれていますが)並べてあるだけで、覚える為の工夫も理解をすすめるのに必要な説明も一切ありません。例えば、先のエントリーでも書きましたが、通訳案内士試験のガイドラインには「地図や写真を使った問題を出す」と銘記されているにも関わらず、何のビジュアルもない対策本なんて考えられますか? 加えて質の悪い紙に大きな文字、内容もない。おそらく参考書としては最低の部類のものでした。
受験勉強で参考書を使った人ならわかると思いますが、売れている参考書というのは、中身が濃いだけではなく、使う人が理解を進めるための工夫がいろいろとなされ、ポイントについても理解しやすいようにわかりやすく説明されています。受験者向けの出版業界は厳しい世界です。たくさんの競合他社がある中、受験生に支持されるものでなければ売れません。少しでもよいものを提供する為に、各社しのぎを削っています。
それらの会社と違い、この対策本の出版元は、ユーザーの事を何と思っているのでしょうか。通訳案内士試験というニッチなマーケット、つまり、大手の会社では採算があわないと参入してこない狭い市場である事をいいことに、あぐらをかいた商売をしているな、というのが私の率直な感想でした。言うまでもなく、こういった対策本は全く買う必要がありません。お金の無駄であるだけでなく、場合によっては効果的な勉強の妨げにさえなりかねません。
ただ、それはわかっていても、他に通訳案内士試験の対策本がないから仕方がないじゃないか、という意見があるのも事実です。しかし、私はそういう人たちに少しだけ勇気を持ってもらいたいのです。
多少の試行錯誤はありましたが、こういった通訳案内士試験の対策本など一切使わずに、私は通訳案内士試験に合格する事ができました。会社勤めのサラリーマンで、残業も普通にこなし、しかもわずか2ヶ月の準備での受験でした。こんな私にできるなら、みなさんにもできるはずです。
では、何を教材として使えば良いのでしょうか。
それについては、次のエントリーで詳しくお話します。
※1 もちろん私個人の感想です。これらの対策本だけを勉強して合格した方もいらっしゃるでしょう。しかし、もっと効果のあがる勉強法や教材があるということを、今後のエントリーでみなさんにも知ってもらいたいと思います。
通訳案内士試験: 「使える! 書込み式地図ドリル」 の詳細はこちら > >
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