発音についての一考察

雲仙天草国立公園

通訳案内士試験の面接では、発音が非常に重視されると言う方が多くいるように見受けられます。通訳案内士対策をされている学校でも合否の鍵は発音にあるといった事を言われる先生方もいるようです。でも、それって本当にそうなのでしょうか。

もちろんあまりに発音がひどくて、聞く側が全く理解できないとかストレスを感じるようだと問題です。でも、その範囲に収まるのであれば、むしろ発音以外の要素の方がコミュニケーションには大きく影響すると思います。つまり、発音だけが合否を大きく左右する要素だとは考えにくいという事です。

いくつか例を挙げて考えてみましょう。

まず、日本人の英語の発音が悪いという人は、どこの国のどの発音が正しいと言うのでしょうか。私はアメリカに住んでいた事がありますが、アメリカ国内でさえ、地域によって発音・アクセント・語彙といったものに大きな違いがあります。もちろんイギリスやオーストラリアに行けばもっと違うでしょう。でも、そこで暮らしている人が日常的に使い、しかも何の差し支えもないわけですから、どれもが正しいわけで、ひとつを取ってこれがおかしいなどと否定する事はできません。

以前、TOEFLを勉強していた時に、関連参考書を多く出版しているバロン社の書籍で、発音とコミュニケーションについて以下のような文章を見つけました。

"Everyone has an accent in English. People from Australia have an Australian accent. People from the United States have an American accent. People from Britain have a British accent. See what I mean? The important point is that your accent is okay as long as the listener can understand. It is good to try to improve your pronounciation, but communication is more important for your academic and professional life."

現行のTOEFLはスピーキングがあり、全てネイティブが採点しますが、発音に対する認識はバロン社のものと変わらないと思います。通訳案内士試験はETS (TOEFLやTOEICを主催している組織) によるものではありませんが、JNTOが受験者の発音に対して、これらとかけ離れた採点基準を持っているとは到底思えません。

考えてもみてください。そもそも日本人でネイティブレベルの発音ができる人などわずかです。自分では 「完璧だ」 と言っているような人でも、実際に話してもらうと、ほとんど一瞬でネイティブでないことがわかります。私自身、発音はネイティブからはほど遠いです。変な話ですが、よくフランス訛りがあると言われます (理由はよくわかりませんが、おそらく 「r」 の発音が 「h」 に近く聞こえるのではないかと思います)。それでも海外で生活して仕事をするのに何一つ不自由はありませんでしたし、通訳案内士試験でも障害になりませんでした。

つまりは、日本人が外国語を話す時に、多少の発音に問題があっても、大した問題にはならないという事です。もちろん余力があれば直していくに越した事はありませんが、試験や仕事・実生活では、文章の構文 (structure) 流暢さ (fluency) や発話態度 (delivery)、会話の持っていき方 (discourse management) などの方がはるかに大切だと思います。

別の例を考えてみましょう。

あなたが英会話の教科書を音読したとします。知らない単語もなく、あなた自身内容が十分理解できる程度だったとして、あなたが読んだ英語を聞いて、ネイティブは理解できないでしょうか。

もしネイティブが、あなたが英語を読んだのかサンスクリット語を読んだのかわからないようだと大変ですが、ほとんどの場合は大丈夫でしょう。たとえあなたがいくつか発音を間違っていたとしても、ネイティブは補って理解してくれます。このことは、あなたがきちんとした文章(構文的にも語彙的にも間違いのないもの) を、会話として意味のなす形で、普通に発話 (全く流暢さがなかったり、意味の通らないところで文章を切ったりしない) すれば、ネイティブには十分理解できるという事です。つまり、通常試験で求められるレベルとしてはこちらの方が先で、発音を良くしていくのはあとからでも構わないのです。

通訳案内士試験を受験したり、その他の英語の資格試験を受験する人は、まずこのレベルに達する事の方が重要です。発音の正確さうんぬんよりも、まずは会話をきっちり作り上げる力を養ってください。また、自分が通訳案内士試験その他に通らないのは発音のせいだと思っている方は、本当にそうなのかどうか、もう1度考え直してみられた方がよいと思います。

曇り 通訳案内士試験: 「記憶力が悪いと嘆く人」 の詳細はこちら > >

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