失敗しない洋書の読み方



本来なら、この時期通訳案内士試験2次試験の準備に忙しい人たちのための記事を書きたかったのですが、時間に恵まれず良い記事が書けそうにないので、今日は一般的な英語の上達のヒントについて少し書いてみたいと思います。

テーマは洋書についてです。

私が学生だった頃に比べると、洋書というものがすごく身近になったと感じます。今では少し大きな書店に行けば大抵置いていますし、何より語学への関心が高いこともあって、中学・高校生ぐらいから読み始める人も少なくありません。事実、去年家に遊びにきた私の甥っ子(高校2年生)も、まだ日本版が発売されていなかったハリーポッターの最終巻を一週間ほどの滞在中に読んで帰りました。彼は別に帰国子女であるとか、英語を特殊に習っているというわけではありません。実際、来年の大学受験では工学部を受験予定のごく普通の高校生です。

考えてみれば、私の大学受験の頃だって、難関校での英語の試験の出典が、やれサマセット・モームだバージニア・ウルフだ、などということが普通にありましたから、レベル的には全く歯が立たないということはなかったでしょう。ですがその頃は、洋書と聞いただけで、ハナッから勝負にならないと思っていました。そのあたりは、昔と今の外国語に対する先入観の違いといったところでしょうか。

しかし、理由はそれだけではないと思います。比較的多くの人がハリーポッターを洋書で読むことができるひとつの理由は、既に映画で主要な登場人物とその人間関係がわかっていることにあります。またストーリーそのものも、ハリーとヴォルデモートの対立軸がはっきりしているので、いかにストーリーが展開しても物語の筋を見失うことがありません。ストーリーの面白さや、低学年の読者層向けに比較的平易な英文で書かれている事にも助けられていると思いますが、こういった要素が洋書を読む際のハードルを低くしている事は想像に難くありません。

では、映画化された洋書を読むのが良いのかというと、そうでもありません。映画の原作を読むことには欠点も数多くあります。既に映画で見たものを読む場合、話には新鮮さ・驚きがありませんし、あなたと映画の製作者の解釈の違いで、キャラクターに随分開きがあったりしても嬉しくありません。時には映画と原作の話が全く違っていたりして、ガッカリすることさえあります。ハリー・ポッターのような場合でも、最終的にはハリーは死なないし勝つのもわかっていますから、原作を読んでも興味は半ばといったところです。

ここはやはり、以前に映画で観たり日本語の訳本で読んだことのないものを読破したいところです。そのことで、本当の意味で洋書を読んだと言うことができますし、読むことを楽しめれば、その後も他の作品を読みたいと思えるようになるはずです。

では、実際どうしたら良いのでしょう。

答えは簡単です。自分に適った作品を選ぶこと。全てはこれに尽きると思います。

洋書を読み始めて挫折する人は、

1) 話が面白く感じられる以前に、人間関係や物語の背景を理解できず、あきらめてしまう
2) 作者の言い回しや表現になかなか慣れられない
3) ストーリーがわからなくなる / 話の展開が面白くなく興味を失う
4) 外国語のレベルや内容が自分には厳しい

といったことを経験する場合が多いです。このエントリーの読者の中にも、そういう人がいらっしゃるのではないでしょうか(笑)。こういった事態を避けるには、以下の方法を試してみてください。

まずは、自分が興味を持って読めそうな本を探します。その際、洋書を探すのではなく、日本語訳が出ているものをチェックして候補を探してください。本屋で立ち読みすれば充分です。最初の何ページかをめくってみて、面白くなさそうだったら別の本に移ります。そうこうするうちに面白そうなものに出会うと思います。そうしたら、もう少し読み続けましょう。但し読むのは、最初の1〜3章(長くても5章目ぐらい)までです。

そこまで読んだら本を置きます。そこでその作品に非常に興味を感じ、どうしても続きを読みたいと思えるようだったら、今度は洋書をチェックします。その際、確認するのは外国語のレベルです。難しすぎて手が出ないようだったら、残念ですがあきらめて、先程のステップに戻ります(別の本を探す)。しかし、いけそうだなと感じたら、その本を購入しましょう。あとはその本を読むだけです(但し続きから読むのではなく、必ず最初から読んでください)。

このトリックはおわかりになりますよね。まず日本語で物語の最初の部分を読んでいますから、メインの登場人物や物語の背景は頭に入っているはずです。ストーリーがわかっていると、その部分を読む際には、その作者の文体や言い回しに慣れる事に集中できます。こうして日本語で読んだ部分を外国語で読みすすめた時点で、この本を読み切るのに必要なベースを作ることができるのです。加えて、読み始めてみたもののいまいち内容が面白くない、といった事態も回避することができます。そして1冊を読み切ることができれば、晴れて自分自身の力だけで洋書を読んだと言えることになります。※1

もういくつか、書籍を選ぶポイントを挙げておきましょう。こだわりがないのであれば、いわゆるベストセラー作家と言われる人のものから作品を選んだ方がいいと思います。特にシリーズものなどはいいですね。理由は2つあります。ベストセラーと呼ばれるものは、比較的易しい言葉で書かれていることが多いです。余暇で読む人が多いわけですから、いちいち理解に詰まるような内容ではなく、また、平易な言葉が使われています。もう1つには、同じ著者の書いたものを続けて読むと、文体や言い回しに慣れているのでかなり楽になります。特にシリーズものの場合は人間関係も設定もわかっていますし、どんどん読めるでしょう。

人によっては、最初から専門書をという方もいますけど、そのためには少なくともその分野の用語を知っておく必要があるので、取り付くまでのハードルがかなり高いです。その分、読めるようになると一気にいきますが、英語の力がまだしっかりしていない方にはお勧めしません。

いずれにせよ、みなさんが洋書を楽しめるようになることが、攻略の基本になると思います。面白い本や素晴らしい本に出会ったら、私にも教えてくださいね。ちなみに最近読んだアダム・ファウアーの『Improbable』は面白かったです。 魚


※1 できることなら、辞書を使わずに読むことをお勧めします。辞書を必要以上に使わない事の大切さについては、別のエントリーで詳しく説明する予定です。
calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>
latest entries
categories
recent comment
recent trackback
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM